CASE STUDY

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短期間で売上2倍増を生み出したモンシェールのデジタル施策

(株)モンシェールは、「堂島ロール」をシンボルに、国内スイーツ業界を牽引するパティスリーです。Vogaroは2016年3月からコーポレートサイトの全面リニューアルを手がけますが、その1カ月前に取り組んだのが、クリスマスや年末年始と並ぶ、スイーツ業界の一大商戦“バレンタイン”のデジタル施策でした。

なぜバレンタイン商戦でのデジタル施策が ブランディングと販売促進の両面を実現できたのか?

バレンタイン特設サイト「Chocolate Story」PC版TOPページ

 バレンタイン施策での取り組みの結果、昨年比で全体の売上2倍増を達成。ブランド名検索では「モンシェール」が約3倍、「堂島ロール」が約2.5倍の検索増(2016年1月比)を記録したほか、来訪ユーザーが増えるだけでなく、そのうち新規ユーザーが9割近くを占めるようになりました。

こうしたバレンタイン商戦での成功が決め手となり、Vogaroは本格的にモンシェールのリブランディングプロジェクトの役割を担うことになります。今回のケーススタディでは、モンシェールとのパートナーシップを強固にするきっかけとなった、バレンタイン施策の裏側をご紹介します。

※コーポレートサイトの全面リニューアルについては、WD Online(マイナビ出版『Web Designing』/連載「デジタルプロモーションの舞台裏」)で公開中です。詳しくはこちら。

できていない理由を探り大幅な刷新でデジタル最適化

 そもそもクライアントは、これまでの自社のデジタル施策について、根本的な改善を希望していました。モンシェールという全国的なブランド認知を持ち、堂島ロールなど主力商品も抱えながら、それらに見合ったデジタル施策を打ち出せていなかったからです。
 
「実店舗と違い、オンラインショップ経由では大きな売上を残せていないジレンマがありました。当時はスマートフォン対策もできておらず、ゼロからデジタル施策のあり方を見直す必要性を感じていました。」(モンシェール:グスタヴィッチ氏)
 
 2016年に入り、クライアントはVogaroを通じて課題の全面解消へと舵を切ります。そこでVogaroは、直近に控えていたバレンタイン商戦での現状打開を期待されたわけです。早急に昨年までの状態を確認すると、ブランドサイトは、印刷データをベースにした、ブランド感が伝わりづらい平面的なサイト構成だったことを知ります。
 
「モンシェールというブランドの潜在能力がしっかり伝わるデジタル最適化を目指しました。特設サイトのトップページを例に挙げると、ブランドがきちんと伝わるキービジュアルをベースに、バレンタイン商戦で勝負したい3シリーズ(「BLACK」「RED」「PINK」)が伝わる構成に改めたのです。以前までの情報量を詰め込んだUIを一新し、画面内の掲載情報を絞るとともに、欲しいと感じる情報に迷わずリーチできる導線設計を実現しました。」(Vogaro:豊田)
 
 特にこの施策に求められたミッションは、以下の3点と考え、それらの解決を図っていきました。

3つのミッション

1. ランディングページとなる特設サイトへの流入の質と量を改善する効果的なアド(広告)施策の実現。
2. 特設サイトを最適化し、オンラインショップ(通販サイト)や実店舗への送客を促す。
3. 1と2を機能させ、バレンタイン商戦での大幅な売上増。

質の高いユーザー流入数増加を導いたアド施策の中身

 アド(広告)施策にあたっては、バレンタインにおける市場調査に始まり、ターゲットとなるユーザー属性や同業他社の動向を徹底的に分析。アド配信は、ユーザーの大半にアクションが出始める「2月5日」に定めました。
 KPIは「特設サイト(ランディングページ)への遷移」「通販サイトへの送客」に設定。ただ、当時はクライアントが本格的にデジタル施策のテコ入れを始めたばかりだったため、通販サイト経由では購入数に対応しきれない事情もあり、KPIの先に「特設サイトから実店舗への送客」を促すようにもしました。
 
 そこでクライアントのペルソナ(お客様像)は、ユーザーの日々の行動に焦点を当てながら、モンシェールブランドに興味を持ちやすい人、なおかつ来店の可能性が高い人として、以下のように導き出しました。

ペルソナの設定

・大阪市内在住、女性、20歳〜45歳
・バレンタインチョコレートに興味・関心がある
・堂島本店を中心に「5km以内に居住 or 勤務地」がある
・ショッピングで本店近くに来ることが多い

 あとは上記のペルソナにかなったリスティング広告用のテキストをパターン別で用意。あわせて、バナー広告ではブランド感が伝わるようクリエイティブを用いて「BLACK」「RED」「PINK」の3シリーズ毎にバナーを作成。さらに効果的な配信のために、よりペルソナに届きやすいメディアに絞り出稿しました。

実際に使用したシリーズ毎のバナー

左から「BLACK」「RED」「PINK」でクリエイティブを追求。認知や購入という目的につながる構成に仕上げ、質と量が伴う流入の原動力となりました。

「潜在層には、初見でクリックに至らなくても、後から気になったユーザーが検索経由で流入してくる“ビュースルーコンバージョン”も意識しています。実際、ブランド名検索が飛躍的に向上した要因の1つです。インプレッション(表示)が約60万回を記録するなど、バナー表示を通じたブランド施策にもなっています。また、顕在層はすでに購入したいブランドを決めている可能性が高いので、モンシェールブランドへ乗り換えを促す働きかけ(バナー表示)は、顕在層にも効果的です。」(Vogaro:和田)

最適な情報設計を実現した特設サイト

 流入が改善できればできるほど、流入の受け皿である特設サイト(ランディングページ)の再構築は、大きな使命を帯びていきます。最終的なユーザーの態度変容に左右する場所だからです。
「ブランド感が伝わる気品のあるクリエイティブをベースに、スマホファーストを意識して、パッと見てすぐに伝わる見せ方を徹底しています。迷わず欲しい情報元にたどりつける導線設計へと改めれば、売上の機会損失を最小限に抑えることができます」(Vogaro:豊田)
 設定したペルソナにあわせて、質と量を追求したアド施策を行い、同時にブランドが伝わるクリエイティブ(流入の受け皿である特設サイト)の実現は、想定以上の送客効果を生み、施策を通じて昨年比で売上2倍増をもたらします。

モンシェールのコンセプト、ブランドイメージに沿ったチョコレート商品の展開を意識したデザイン。
以前の平面的なデザインから刷新し、テーマである”チョコレート”らしさを動的に表現。PCのMVでは動画を使って”チョコレートのなめらかさ”をシズル感溢れる状態で表現。また、”モンシェールらしい上質な雰囲気”を3シリーズで醸成させるため、カラーはゴールドを採用。タイポグラフィーでは、”しなやかさ”、”女性らしさ”を表現している。
ユーザーの購買意欲向上を促す構成。
パッケージ写真単体だけでは、商品そのものが持つ魅力や雰囲気が伝わりくいため、印象を最大化させるビジュアルイメージ①とパッケージ写真②をセットで配置。
①で商品そのものが持つ魅力や雰囲気を訴求し、②の商品詳細で理解を深める構成を作り購買意欲の向上を図った。
またPCサイトではナビゲーション③を固定で配置。
BLACK、RED、PINKの3シリーズがあるので、表示されている商品がどのシリーズなのかを紐付け、シリーズ名とコンセプトテキスト、商品写真が常にセットで見られるよう配置している。
回遊性とコンバージョンを担保した構成。
2)各シリーズへの回遊性を担保するために画面幅100%で各シリーズ動線を表示。

3)下部にクロージングとしてCVボタンを設置。

*これらの構成と機能をPCとスマホの両方で表現している。

オウンドデータの活用が継続的な成功を生む

 Vogaroは、1,000社を超えるオウンドメディアの開設に携わったことで得たノウハウを「オウンドデータ構想」として打ち立てています。その考えは、この案件にも活きています。この場合、バレンタイン商戦自体は短期間ながら、この期間で生まれたユーザーとのコミュニケーションが、さらに今後のアクションへとつなげることまで配慮。目先の集客ばかりにとらわれたアド施策ではなく、オウンドデータ(クライアントやブランドが保持/蓄積してきたデータ)を活用した施策の実践こそが、クライアントの更なる成長に貢献できるとVogaroは考えています。

「私たちの事業は、バレンタインに限りません。季節(企画)に応じたモンシェールブランドとお客様との向き合い方、実店舗やオンラインショップサイトで提供すべき価値、お客様に向けてのコミュニケーションのあり方など、さまざまな本質的な問いに、緻密な分析に基づく具体的な実行力で応じてくれたのがVogaroです。この施策での成功によって、今後も一緒にモンシェールブランドの確立に取り組んでいただけると確信しました。」(グスタヴィッチ氏)

バレンタイン時の店舗VMDの写真


文:遠藤義浩
フリー編集者/ライター。
雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)など、主にWeb/デジタルマーケティング分野の媒体で活動。

(株)モンシェール

大阪に本社がある(株)モンシェールは、「堂島ロール」で有名な洋菓子の製造および販売会社。2016年3月から全面リニューアルしたコーポレートサイトを通じて、確かな成果をもたらしている。